2025.07.23

ベトナム各地域の特徴

ベトナムは一つの国でありながら、北部・中部・南部の三地域で特色が異なるのはご存じですか。

各地域に独自の気候や人々の性格、文化などに特徴があります。

本記事では、各地域の人・文化・食・気候について、ベトナムの多様性を紹介します。

各地域の特色を踏まえてコミュニケーションをとることができれば、国境を越えた濃密な時間を送れるでしょう。

   1. ベトナム北部

ベトナム北部の人

北部の人々は、落ち着きがあり、思慮深く、礼儀や形式を重んじる傾向が強く見られます。

たとえば、初対面の場面では、控えめで丁寧な態度をとることが多いです。
いきなり親密になるというよりは、少しずつ関係を築いていく慎重な姿勢が見られます。
また、「体面を大切にする」「礼儀正しく振る舞う」といった価値観が強いため、仕事や日常生活の場面でも、礼儀正しい挨拶や丁寧な言葉づかいが自然と身についています。
ハノイで働くビジネスパーソンからは、書類の形式や言い回しに気を配る様子からも、北部のベトナム人の性格が垣間見えるでしょう。

ベトナム北部の文化

ベトナム北部は文化的に伝統と歴史の中心地です。

1000年以上の歴史を持つタンロン皇城や、旧市街に今も残る伝統工芸の職人町が象徴的ですよね。
例えば、ハンバック通りでは代々続く銀細工の店が軒を連ね、伝統的な技術が今も受け継がれています。
儒教の影響も色濃く残っているため、家族や社会における上下関係を重視し、親や年長者を敬う姿勢が深く根付いています。
そのため、結婚式やお正月の行事でも、祖先を敬う儀式や、形式的な手順が今でも守られています。

北部では、アオザイに加え「アオトゥタン(Áo tứ thân)」という四つの前身頃を持つ独自の伝統衣装があるのはご存じですか。
この衣装は、昔の北部ベトナム女性の素朴で魅力的な美しさを表し、勤勉で真面目に働く姿を表現しています。
現在では、伝統的な祭や行事の中でその姿を見ることができるでしょう。

ベトナム北部の食

北部の食文化は味付けが控えめで、素材の味を生かした繊細な料理が特徴です。
代表的なのが「フォー」で、透き通ったスープと平たい米麺が特徴のこの料理は、北部特有の洗練された味わいの代表格。
他にも、ブンチャー(炭火焼き豚とつけ麺)など、調味料の使い方に節度を感じれる料理が並びます。
エッグコーヒーも、手間を惜しまない北部ならではの繊細な味わいです。

 

ベトナム北部の気候

北部の気候は、四季がはっきりしており、夏は暑く、冬は寒く湿度が高いです。
ハノイの冬は10度前後まで気温が下がることもあり、外出時には厚手の上着も欠かせません。
寒暖差のある気候が、生活の中に「備える意識」や「謙虚さ」を育み、人々の内省的な気質にも影響を与えていると言えるでしょう。
 

   2. ベトナム中部

ベトナム中部の人

中部の人々は、しばしば「芯がある」「誠実」「我慢強い」といった言葉で表現されます。
自然災害の多い地域で育ってきた背景もあり、困難に耐える力や、簡単には弱音を吐かない忍耐強さがにじみ出ています。
実際にフエやクアンナムの人々と接してみると、言葉は少なめでも、行動や仕事に真面目で粘り強い姿勢を感じる人も多いでしょう。
正直で率直な性格のため、時に「厳しい」「冷たい」と誤解されることもありますが、心を開くと親身に接してくれる人が多いです。

ベトナム中部の文化

中部には古都フエを中心とする宮廷文化と庶民的な大衆文化が共存しています。
フエの王宮や雅楽(ニャニャック)は格式と優雅さがあり、ユネスコの世界遺産にも登録されてます。
大衆文化の面では、中部独自の信仰や風習があり、ダナンやホイアン周辺では「カウグー祭(漁業の神を祀る祭り)」など、自然と共生する文化が根付いてます。
祖先崇拝や、命日にお供えを欠かさないなど、家族や先祖に対する思いも非常に強い地域です。


中部では、アオザイが国服として知られています。
フエのアオザイは紫色が多く、繊細な刺繍と優美なシルエットで知られており、着ている女性の気品と誠実さが際立ちます 。

ベトナム中部の食

中部の食文化は、塩気が多く、辛味の効いた味付けが特徴です。
中部名物の「ブンボーフエ」は、レモングラスと唐辛子の効いた濃厚なスープが特徴。
ホイアンの「カオラウ」や、「ミークアン」など、独特な麺文化も発達しており、地域のアイデンティティも色濃く表れています。

ベトナム中部の気候

中部の気候は、夏は非常に暑く、冬は肌寒い日もあります。
年間を通じて天候の変化が激しく、台風の影響を受けやすい地域です。

ダナンでは9月から11月にかけて集中的に大雨が降ることが多く、洪水対策も生活の一部となっています。
厳しい自然環境が、人々の倹約精神や計画性、困難に立ち向かうたくましさを育んでいるともいえるでしょう。

 

   3. ベトナム南部

ベトナム南部の人

南部の人々は開放的な性格が多いため、明るく陽気で、人懐っこく、初対面でも気軽に話しかけてくれます。
ホーチミン市では人の動きが活発で、柔軟に変化に対応する力も持ってます。
「なんとかなるさ」という楽観的な精神も根強く、仕事でも私生活でも深刻に悩まず、前向きに物事をとらえる傾向も特徴的。
近所づきあいや職場での人間関係もフランクで、形式にとらわれないコミュニケーションが日常的です。

ベトナム南部の文化

南部の文化は開拓者精神に満ち、他民族との交流や多様性に寛容な風土が育まれてきました。
19世紀以降、多くの移民が集まり、カンボジア系や中華系の影響を受けた独自の文化が生まれています。
たとえば、チョロン地区には中華街が広がり、旧正月の時期には華やかな装飾とともに伝統的な獅子舞なども見られます。


南部では、明るく開放的な気候に合わせ、カラフルで動きやすいアオババ(Áo bà ba)という衣装が親しまれています。
アオババ、チェック模様のスカーフ(khăn rn)、そしてノンラー(肩かけ帽)という三つアイテムが、南部女性のたたずまいを構成し、戦時中には逞しくも優雅な存在として讃えられてきました。
この衣装は、日常生活にも適しており、農作業などにもよく使われています。

ベトナム南部の食

南部では、甘みを生かした、量の多い料理で食文化を楽しめるでしょう。
たとえば、フーティウ(南部の汁なし麺)やコムタム(砕きご飯)、チェー(デザートスープ)など、味も彩りも豊かな料理が代表的。
フルーツも豊富で、ドリアン、マンゴー、ラムブータンなどの南国の果物が日常的に楽しめるのも大きな特徴です。

 

ベトナム南部の気候

南部の気候は典型的な熱帯気候で、一年を通じて気温が高く、乾季(11月~4月)と雨季(5月~10月)に分かれています。
ホーチミン市では、年中半袖で過ごせる温暖な気候のため、外出や活動も活発。
人々の性格にもその明るさが反映されているように感じます。
雨季は頻繁にスコールに見舞われるため、柔軟に対応する姿勢が必要です。

 

まとめ

ベトナムの北部・中部・南部の各地域についてまとめました。

地理的・歴史的・気候的な背景によって、性格や文化、食文化に独自の特徴があります。

この多様性が、ベトナム全体の魅力であり、国全体の豊かな文化を形成してます。

ベトナムの各地域の特徴を知った上でベトナム人とコミュニケーションを取ると、これまでと違った盛り上がりを見せるでしょう。

ベトナム人との良好な関係づくりのお役に立てばうれしいです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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