2021.10.13
皆さんこんにちは。
ホーチミンの通訳担当のNgan(ガン)です。
今日は私なりに、
ベトナム人視点からみた日系企業の特徴について
お話をしたいと思います。
私は2016年から2年間、「帝京大学アジア交流プログラム(TAEP)」で、
交換留学生として日本で暮らしたことがありました。
日本での2年間は勉強やアルバイトを通じ、
多くの日本人の方々と交流し、日本的な仕事スタイルを体験しました。
日本からの帰国後、日系企業で働くことを選び、
企業の考え方や仕事のやり方を
ようやく理解できるようになってきました。
今在籍しているFrontier Consulting Vietnamは、
私の2社目の勤め先となります。
今日は留学時も含めたこの5年間で私が日系企業について
感じたことをまとめてみようと思います。
日系企業について思うこと・・・
1. 挨拶をとても大事にしている
挨拶をすることは珍しいことではありませんが、
日本人は「挨拶」をより重視しているように感じます。
正直、急いでいる時には、
決まりきった挨拶をする必要はないと思うこともありますが、
日本人は、挨拶が場を和まし、コミュニケーションを円滑にする
大切な機会だと考えていると思います。
特にお客様との挨拶では、
お取引の関係を強固にする上でも大きな意味があり、
私は挨拶を大切にする日本企業の文化をよいことだと感じています。
2. 日本人の<出勤の定義>がベトナム人と違っていた!
次に、日本人と仕事をしたことのあるベトナム人なら、
日本人がいかに時間を大切にしているか知っています。
ベトナム人が日系企業に就職して最初に気をつけることは、
<時間通りに出勤する>ことです。
ベトナムローカルの会社なら、始業時間が9時だとすれば、
8時59分や9時1分にオフィスに着いても大概はOKですが、
日系企業では<遅刻の言い訳>は通用しません。
日系企業の<出勤>とは、
<始業時間にオフィスに到着する>のではなく、
<始業時間ぴったりに仕事をスタートする>ことを意味します。
始業時間に間に合うかどうかは自身の問題であり、
雨の渋滞やバイクの故障などの外的要因のせいにしても認めてもらえません。
これはベトナム人が日系企業で最初に経験するハードル
であることは間違いはないでしょう。
3. タスク完了予測まで細かな日系企業。
時間の遵守と言えば、タスク完了の予測報告も日系企業の特徴だと思います。
ベトナムローカルの会社では、
1日で完了予定だと言っても、実際には2〜3日かかる場合が多い。
2~3時間で完了予定と答えても、丸1日掛かることもよくあります。
日系企業では、
タスクの完了予測も正確に報告をすることが求められます。
もちろん100%正確な予測を求められるわけではありませんが、
常に正確な予測を求める傾向にあるのは日系企業の特徴だと思います。
4.顧客へのサービスも大切にしている
時間に厳密であるのは、きっと日系企業が、
お客様へのサービスを最優先事項の1つと考えているからだと思います。
どの業種においても、日本人はお客様を最優先に考え、
お客様の声に耳を傾けようとします。
会社の製品を売るだけでなく、
お客様に満足いただけるサービスを重要と考えています。
ですが時々、自分や家族よりお客様を大切にしているのでは?
と感じてしまうこともあり、
ベトナム人には少し理解するのが難しい部分があるかもしれません。
初めて日系企業で働くベトナム人は、
多かれ少なかれ仕事のスタイルの違いに戸惑うことがあります。
でも、日本企業で働くことを自分で選んだ以上、
社員は、労働文化やスタイルの違いを知り、
適応する必要があると思います。
5. 会議好きな日本人。本当に全員が必要なメンバー?
日本人はオフィスでの会議が多く、常にノートをとる習慣がありますが、
ベトナム人は実際には会議が自分とあまり関係ないことだと感じれば、
すぐ気が散ってしまいます。
正直、会議で得られることが少ない時もあります。
でも、ノートを持参して会議に臨む姿勢を見せると、
日本人からの評価がUPしているような気も・・・。
日系企業の会議は参加人数に比べて発言をしている人がかなり少ない
ように思います。
6. 日本人の謎。<始業に厳しく終業には曖昧>の矛盾。
日本人は始業時間に非常に厳しく、終業時間には曖昧だと感じます。
なんとなく、従業員が早く帰ることを望んでいない??
と感じることもあります。
日本人は、<終業時間はタスクを完了した時>という人が多く、
夕方5時半になっても退勤せず、残業する人が多いような気がします。
一方、ベトナム人は自分や家族との時間を大切にしますので、
普通に「いつも定時で帰りたい」と自然に考える傾向にあります。
お互いを理解し合い、折り合いをつけることができるのが一番の理想です。
7.日系企業で働くベトナム人が残業を減らすには?
日本人はすべてのタスクを正確に片付けようとするからこそ、
時間やスケジュールを守り、世界的に評価を得ていますが、
日系企業の残業の多さは、ベトナム人にはちょっと問題かもしれません。
もちろん、日本人の考え方をまず理解することが先決で、
例えば、ベトナム人側も、スキルアップできる機会と捉えたり、
不満を溜めすぎないよう気持ちを工夫する必要があると思います。
残業を減らすには、
仕事の優先順位を整理するのも大切だと思いました。
タスクが多い時には、各タスクの優先順位はどうなのか、
先にやるべきこと、後回しにできることを上司へ確認し、
カレンダーにリマインドしていけば
残業は減らせると思います。
8. 日系企業の不思議。内部承認の期限はあまり守れられない。
自分では「完璧!」と思ったタスクが、
日本人の上司にチェックされると、山のようなフィードバックが。
そんな時には多くのベトナム人は
「日本人は細かすぎ!」と内心感じています。
そうした細かさに疲れたり、悔しく思うベトナム人も多いでしょう。
でも私はポジティブに<完璧さに対する認識をアップさせるチャンス>
と考えて乗り切っています。
日本人が細かいからそうなのかはわかりませんが、
よく「日系企業の物事の決定は遅い」という話を耳にします。
日系企業には、多くの内部や本社の承認プロセスを経ねばならず、
レビューに数週間もかかることもあります。
これはベトナム人が理解しにくいことの1つです。
日本人は目上の方への敬意があり、
承認業務を丁寧に行うことで時間がかかるのでしょうか?
私には未だによくわからない部分です。
最後に
日系企業で働いていることは、私には良い経験となっています。
一番良いと思うことは、私は通訳ですので、
敬語を含む、ビジネスレベルの日本語を仕事から学べることです。
それから、すべてを完璧するための仕事への気配り、
高い品質を確保するために取る手法もとても勉強になります。
日系企業で働き始めた頃は、
チェック項目があまりにも多すぎて正直イライラすることもありましたが、
時間が経つにつれ、そのありがたみが少しずつわかるようになりました。
もちろん、日系企業で働いているベトナム人の中には、
私とは異なる意見をもつ人もいるとは思いますが、
少しでも共感していただければいいなと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。