2022.06.21
皆さんこんにちは。
ハノイの通訳担当のTam Anh(タム・アン)です。
企業のオフィスには何かしらの文書が保管されており、
法的に重要な文書は大切に保管しなければいけません。
世界的な流れでは、オフィス文書はペーパーレス化に向かっています。
そこで今日はベトナムのペーパーレス化の現状についてご紹介できればと思います。
オフィスに保管する文書が多すぎますと多くの不便が発生します。
文書量が増加すれば、オフィス内は書類で溢れかえり、
類紛失のリスクにもつながってきます。
ベトナムの法律では文書の保管期間は下記のように異なっています。
文書 | 保持期間 | |
会社の定款、会社内部管理の規則 | 永続 | |
会議議事録 | 10年 | |
決算報告 | 長期、年々 | 永続 |
6ヶ月、9ヶ月 | 20年 | |
季刊、月刊 | 5年 | |
帳簿と決算報告を作成に直接使用される証憑書類。 | 10年 | |
帳簿と決算報告を作成に直接な使用されない証憑書類。 | 5年 | |
契約終了後の労働記録 | 5年 | |
固定資産の証憑:清算、売却、在庫結果、資産評価などの固定資産に関連する証憑… | 10年 |
ベトナムでは特に内部承認や取引先との取り交わし書類など、
多くのサイナーが必要なことが多く、
同じ文書でも複数部出力しなければならないことが多くあり、
世界に比べて、
ベトナムにおける企業のペーパーレス化は大きく遅れをとっている
と言っていいでしょう。
加えてベトナムでは、
こうした文書に関する企業慣習の変化を恐れる意識も働きます。
ほとんどの企業では伝統的保管形式をそのまま継続する傾向にあります。
つまり、大小問わず契約書類などの文書の出力保管文化が根強く残っています。
本気でペーパーレス化に切り替える為には、
どの企業も情報管理に関わるアプリケーションの導入をしていく必要があります。
VCCI (ベトナム商工会議所)の統計によりますと、
ベトナムの中小企業は企業総数の約 97%を占めており、
ベトナムの企業で使用されているオフィス什器類は80%から90%が輸入品
によって賄われています。
しかも、
ベトナムの総企業数の8割の企業が、
1980~1990年代に販売されていた古いオフィス什器を現在も使用
しています。
こうしたソフト面の情報管理技術やインフラ面のデジタル化の遅れによって、
ベトナムの企業のペーパーレス化が遅れているのです。
急速な情報技術の発達とともに効果的で経費コストも配慮した
オフィス管理方法はたくさんありますが、
まず、最も大切なのは「意識を変える」ことです。
「ペーパーレス」とは、直接的には実際の紙の使用量0の意味ですが、
紙の使用に関する意識を変革、
「出力させない、持たせない、受け取らせない」
これをオフィス利用時のガイドラインとし、
社員全員が参画することをルールとして求める方法です。
次は、内務のデジタル化とファイル共有システムの採用も有効です。
皆さんよくご存知ですが、ビジネスドキュメントをデータ形式に変換させる方法です。
請求書のデジタル化などもこれに該当します。
紙の請求書と比較し、
電子請求書の採用は企業としてコストの削減にもつながります。
ベトナムでは紙の文書に長期の保管期限が課されている以上、
通常のやり方を踏襲し続けますと、
コピー用紙代
インクカートリッジ費
郵送費
文書の保管スペースの床面積分家賃
請求書の保管用キャビネットの増設費用
などが発生します。
大掛かりな変革が難しい場合には、
会議のペーパーレス化など部分的に実施していく方法もありますね。
会議は紙のプレゼンを最小限に抑えるように工夫します。
すべての参加者が、PCやモニター共有をし、場合によっては、
デュアルモニターによる紙出力リスクも削減していきます。
利便性、スピード、節約、環境保護は、あらゆる企業が達成したい目標です。
ペーパーレス化はどの国の企業にも奨励されているトレンドですが、
ベトナムでは、まだまだ道のりは遠いかもしれません。
私は、オフィスのペーパーレス化が
早くベトナム企業の間でトレンドとなることを願っています。
今回もお読みいただきましてありがとうございました。