2021.08.31

Blogアップ_特集:テレワーク実態調査アンケート【前編】

テレワーク制度定着せず? オフィス再開後の日系企業の動向予測

 

当社は8月中旬に主にホーチミンとハノイの日系企業175社を対象に、テレワークの実態調査を行わせていただきました。(アンケート回答企業175社、日本人187名、ベトナム人185名が回答)このデータを元に、【前後編】に分けて皆様に集計結果をご報告いたします。

【前編】は、8/26 VIETJO掲載記事 『テレワーク定着せず?オフィス再開後の日系企業を予測、フロンティアコンサルティング調査』にさらに加筆した集計結果の詳細を発信いたします。

 

 

日本人とベトナム人の自宅環境の違い

長引くロックダウンで多くの日系企業の社員は現在テレワークを行なっている。

前提となるテレワークの自宅環境について、日本人とベトナム人ではどのような環境差があるのだろうか。

質問<A-6. テレワーク中の家族構成>の回答によれば、日本人は「単身者」が最多の56.9%で、「家族同居」

は38.1%と単身者より少ない傾向にある。

一方、ベトナム人の8割が「家族」や「ルームメイト」と同居のテレワークとなっており、「単身者」は19.5%と少な

い回答結果となった。

この回答結果は、他の質問項目でも日本人とベトナム人のテレワーク中の気持ちの差として色々と現れていたため、

テレワークの実態を捉える上で、欠かすことのできない重要な前提条件と考えるべきだろう。

 

 

PCを使って仕事をするための通信環境は自宅で整っているのだろうか。

自宅にWIFIを「備えている」人は全体の95.8%。WIFIが「ない」と回答した人は全体の0.55%のみであった。

インターネット回線については、ほぼ「備わっている」と言えるだろう。通信の状態については、ベトナムはオフィス

であっても不安定なことも多く、回線プランも、自宅でグレードの高いプランに加入しているとは考えにくく、質問か

ら外した。

 

 

テレワーク中の社員は比較的規則正しく生活

<B-4. テレワーク状況下のあなたの生活習慣はいかがですか?>では、日本人・ベトナム人の大半の人は「規則正

しく生活できている」と回答した。一方、日本人の12.4%、ベトナム人の15.1%が「規則正しい生活ができていな

い」と回答しており、少数派であるものの、今後の長引くロックダウン下では、こうした社員へのメンタル面のサ

ポートやチームとしての効率化も企業の課題の一つと考えられるだろう。日本人一人当たりに掛かる人件費の総額は保

険や福利厚生などのすべてを含めると、ベトナム人の8〜9倍とも言われている。そうしたベトナム人との人件費の差

を考慮すれば、テレワーク中に「規則正しい生活ができていない」日本人12.4%という数字は、看過できない数字と

考えた方が無難だろう。

 

会社のサポートを好意的に感じているベトナム人

質問<B-2.テレワーク中の会社のサポート状況をどう感じますか?>に関しては、日本人の72.9%が会社のサポートを

「普通」と答えた(ベトナム人は37.2%が「普通」と回答)。一方、ベトナム人の57.9%が「会社はよくサポートをし

てくれていると感じる」と好意的に答えている。「会社はあまりサポートしてくれない」と答えたベトナム人はわずか

3.3%にとどまっている。これは、PCの会社貸与がすぐにできなかったなど、テレワーク環境をオンタイムで整えられ

なかった社員の不満などのケースで、一部の事例に起因していることが推測される。

もちろん各企業ごとに内務フロー改善などの課題はあるにせよ、総じて好意的な回答と言える。

 

テレワークにストレスを感じる日本人、快適なベトナム人

長引くロックダウン下でのテレワークについて、実際に社員はどんな気持ちなのだろうか。

<B-5. 総じてテレワークは快適か?>の質問に対し、全体の約4割が「普通」と回答した。

「快適か不快か」の回答に関しては、日本人とベトナム人で結果が分かれた。「快適」と答えた日本人は27.8%。逆に

ベトナム人は家族との食事や時間をより長く過ごせるテレワークに心地よさを感じるからか34.6%のベトナム人は「非

常に快適5.4%」「快適29.2%」と答えているのは印象的だ。

ネガティブ回答としては、日本人の30.7%が「快適でない」(「全く快適でない4.5%」「あまり快適でない

26.2%」)と答えた。一方で、ベトナム人は、日本人よりも10%少ない20%が「快適でない」(「全く快適でない

2.2%」「あまり快適でない17.8%」)と答えた。

 

 

テレワークを希望するベトナム人の潜在層の存在

質問<B-1. 長いテレワーク期間における自分の気持ち>では、日本人は「テレワークが続くことにストレスを感じる

16.3%」、「部下が何をしているか把握しにくい16.6%」、「仕事とプライベートの線引きがしにくい15.5%」などの

ネガティブ回答が上位3つを占めたのは特徴的だ

一方、ベトナム人は「会社や部署などの組織への所属感やチームワークが薄れているのではないか15.5%」を心配しつ

つ、「たまにテレワークできるならしたい」と答える人が日本人の倍の21.1%にも達している。子供をもつ共働き世帯

や、バイク通勤に長い時間をかけている社員もいるため、一部テレワーク希望の潜在層は、日本人より確実に多く存在

しているようだ

 

 

テレワーク中に差が出た社内コミュニケーション意識

<C-1. テレワーク中の社内ミーティングの頻度>に関しては、日本人はことばの障壁もあるためか、「同じ」か「や

や減った」と感じている人が最も多く、ベトナム人は「同じ」か「やや増えた」という回答だった。

特に日本人の場合には、前出の<B-4. テレワーク状況下のあなたの生活習慣はいかがですか?>で、日本人の12.4%

「規則正しい生活ができていない」という回答だったため、社内コミュニケーション面の低下には、しっかり目を配る

必要があるだろう。

一方、ベトナム人は<上司へのコミュニケーション>が「減っていない(「同じ75%」「増えた23.5%」)」と回答する

人が実に98.5%と突出していた。こうした回答からは、ベトナム人の方が平時の業務レベルを落とさないよ努めてい

ると言える。

 

 

ライトなコミュニケーションも大崩れしないベトナム人

とりわけ顕著なのがライト・コミュニケーションの差である。

<C-2. 現状の気軽なコミュニケーションの頻度>に関しては、日本人からの<チーム・部下>への働きかけがテレワ

ーク下で特に激減。「同じ(30.7%)」か「減った(56.4%)」という回答となった。この数字は、既出の質問<B-1.テレ

ワーク下のあなたの気持ち>で「部下が何をしているか把握しにくい」と回答した日本人が16.6%に対し、ベトナム人

で「部下が何をしているか把握しにくい」の回答は5.2%のみにとどまっていることに表れている。

ベトナム人は日頃からZALO等のSNSを重用する傾向があり、テレワーク下のライト・コミュニケーション大崩れし

ていないことがわかった。

 

 

テレワークは日系企業で定着しないのか?

<E-3. ロックダウン後にテレワークを制度として採用する予定はありますか?>の問いに対しては、約25%が「ベト

ナム現地サイドだけでは決められない」としつつ、「不要」と答えた日本人は37.1%、ベトナム人は18.9%だった。

「前向きに検討したい」と考えている日本人が17.1%にとどまった。「前向きに検討したい」と考えるベトナム人マネ

ジメント層は33.7%。どちらかといえば、全体的に日本人マネジメント側の消極的なスタンスが伺えるようだ。

実際に「テレワーク制度の導入を検討」している企業は、全体の約15%と低い割合にとどまる結果となった。

 

 

まとめ

今回の実態調査では、テレワークにおける日本人とベトナム人の意識差がところどころ浮き彫りとなった。

ベトナム人の潜在的なテレワーク希望層は確実に存在する。

しかしながら、オフィスワーク再開後、テレワークを制度として運用しようとする日系企業は実際にはまだ少数派で、

今後急速に日系企業に定着する兆しはなさそうだ。

オフィスワークとテレワークを併用する制度は<今後の主流とならない>ことが予測される一方、そうした従来の

オフィスワークを維持する大勢の日系企業とは異なり、テレワークへのベトナム人の潜在的要望を生かして他社との差

別化を図り、人材定着率の向上を目指す少数派日系企業の動き出しも際立つ結果となった。

 

 

次回の特集 テレワーク実態調査アンケート【後編】は、

オフィス移転の動向や家賃交渉の現状などについて9/3に配信予定です。

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