2022.05.30

特集 ベトナムのSDGsの進み具合について【後編】

皆さんこんにちは。

ホーチミンの通訳担当のNgan(ガン)です。

 

前回のベトナムのSDGsについて【前編】では、

SDGsのベトナムでの進み具合についてご紹介をさせていただきました。

 

今回の【後編】では

『ベトナムにおけるSDGsのローカライゼーション』についてお話しをいたします。

 

 

ベトナムにおけるSDGsのローカライゼーション (VSDGs)

 

ベトナムは国連開発計画(UNDP)の支援を受けながら、

SDGsに向けた国家行動計画(NAP)を策定し、

既存の開発戦略、政策、プログラムがSDGsとどの程度整合しているかを検討しました。

 

これをもとに、国家省庁、地方機関、地域コミュニティや開発パートナーと協議を行い、

ベトナムのSDGs目標(以下VSDGsという)を策定しました。

 

VSDGsは2016年に首相によって承認された際に、今と同じく17目標を掲げていますが、

ターゲットは115にとどまっています。

グローバル目標とは実際にはまだ開きがあるのが実状です。

 

Global Goals

SDGs(国連)

VSDGs(ベトナム) 相違点
あらゆる場所であらゆる形態の貧困を終わらせる 国連が全世帯の貧困削減を目標としているのに対し、ベトナムは貧困世帯の貧困削減を主目標にしている。

ベトナムは、ジェンダー、脆弱なグループ、子ども、地理的な場所についての具体的な削減目標は示していない。

飢餓の撲滅、食料安全保障の確保、栄養改善、持続可能な農業開発の推進 グローバル目標では、ジェンダー、脆弱なグループ、子どもをこの目標に統合しているが、VSDGの目標はより一般的なものにとどまっている。
すべての年齢層の国民が健康な生活を確保し、福祉を充実させる ベトナムはすべてのSDGsのターゲットを設定しているが、SDGsのターゲット3.5、3.9のようないくつかのSDGsのターゲットについてはまだ具体的指標がない。

(※ターゲット3.5:薬物乱用とアルコールの有害な使用の予防と治療の強化。ターゲット3.9:有害化学物質や大気・水・土壌汚染による死亡や疾病の数を劇的に減少させる。)

質の高い、公平な、包括的な教育を確保し、すべての人に生涯学習の機会を促進する VSDGsのほとんどは2020年までの計画。ベトナムの教育計画では、包括的なアプローチに関しては、明確な指標が定まっていない。
性別平等の達成、女性と女児への権利付与と機会創出 一部のターゲットがまだ適合できていない。SDGsのターゲット5.1, 5.2, 5.4, 5.a, 5.b, 5.cについては、現地に合わせた指標を検討する必要がある。
すべての人が水と衛生設備を利用でき、かつ持続的に管理できるようにする。 ベトナム国家計画では、水をターゲットとして明確に包括していない。
すべての国民が持続可能で信頼できる安価なエネルギー源にアクセスできるようにする。 VSDG7は、経済発展のエネルギー集約度に関するデータをまだ収集できていない(VSDGターゲット7.3)。 ターゲット7.a、7.bを監視するデータが現在はまだない。
持続可能で包括的かつ継続的な経済成長を確保し、すべての市民のために完全かつ生産的で適切な雇用を創出する。 VSDG8は現在、2020年までのターゲットしか設定されておらず、包括的な開発を測定する具体的指標を欠いている。
耐障害性の高いインフラの整備、包括的で持続可能な産業化の推進、リノベーションの推進 現在、ほとんどのターゲットは2020年までの計画のみで、包括的な開発に関する具体的なターゲットは設定されていない。ベトナムの政策では、既存インフラの持続可能性にまでまだ触れることができていない。
社会的不平等の削減   ベトナムはこのターゲットを分析するデータをまだ提供できていない。金融経済に関わる不均等や、社会的な被差別の詳細に関するデータが収集分析されていない。
持続可能で強靭な都市・農村開発の促進、安全な生活・労働環境の確保、各地域における人口と労働の合理的配分の確保 都市部の非公式占有居住地の規模や住宅品質など、社会の側面に関するデータがまだ収集されていない。公共交通機関や都市計画に関する意思決定への参加の実態に関連しても同様である。
持続可能な生産と消費を確保する ベトナムでは、持続可能な<消費>よりも持続可能な<生産>がより重視されている。

社会的認知度は低く、これらの問題に対する技術的・財政的な支援も不足している

気候変動や自然災害へのタイムリーかつ効果的な対応 気候変動に対する「耐性」はベトナムでは基本的なレベルで理解されているが、VSDGターゲットをモニタリングや測定方法が整備されていない。

災害リスク対応に関する統一的なプロセスがまだなく、そのため組織的な能力も弱いのが現状。

持続可能な開発のための海洋、海、海洋資源の持続的な保全と活用          SDGsのターゲット14.3の海洋酸性化は、ベトナムにとって新たな注目点であり、注意が必要。

ベトナムには海洋の保護区はほとんどなく、全自然地域の0.26%のみ。この点も注意が必要。

森林の持続的な保護と開発、生物多様性の保全、生態系サービスの開発、砂漠化との戦い、土壌資源の劣化防止と再生 ベトナムは森林生態系に重点を置いており、水生、海洋、沿岸、砂漠環境に対する取り組みとの相関性がない。

ベトナムは2020年以降、このターゲットに対する戦略をUpdateしておらず、効果的モニタリングに必要なデータ集積を欠いている。

持続可能な開発のために、平和で民主的、公正、公平、かつ文明的な社会を促進する。すべての市民のための司法へのアクセスを確保し、あらゆるレベルで効果的で説明責任を果たし、参加型の制度を発展させる。 国連が提案するターゲットには、暴力被害者の割合、犯罪報告率、不正資金流入と汚職、小型武器の流通など、既得権益にメスを入れるような情報収集は容易でないものが多いことが推測される。
持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップの強化・推進 ベトナムは、ベトナムからの輸出を世界的に増加させるというターゲットを設定していない。

 

(出典: 計画投資省持続可能な開発室)

実際の企業による取り組みは?

 

お客様の持続可能な事業展開の活動を支援するため、

フロンティアもSDGsに取り組んでいるサプライヤーを推進しています。

 

当社が良くやり取りするインテリアの装飾建材のサプライヤーである

AN CUONG WOOD – WORKING JSCさんは、

2021年に持続可能な企業トップ100のうちの48位にランクインしました。

 

インテリア建材最大手の一社である株式会社サンゲツさんも

サステナブルな社会の実現を目指しています。

こちらは、

私たちフロンティアコンサルティングが目指しているSDGsの取り組みです。

 

マテリアリティ サマリー 関連するSDGs

働く人、企業組織、

社会にとって

サスティナブルな

働く環境を構築

企業組織や働く人の生産活動や成長、創造性を促進しながらも、地域及び環境に配慮がなされた働く場の構築に取り組み、持続可能な社会に貢献します。

 

働く人へ、

自己実現機会の提供

働く環境における身体的・精神的・社会的なウェルビーイングに取り組むとともに、働く人の自己実現機会を提供します。

労働力の開発

働き方と働く環境の多様性を生み出し、若者や障害者、人種・性別を問わず生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を援助していきます。また、働く場所や働き方に関する知識や情報を発信し、働く人々社会のワークリテラシー向上に努めます。

働き方を豊かにするサービスやプロダクトの開発支援

働く環境や働き方に関わる研究や技術に注目し、働き方を豊かにするサービスやプロダクトの開発を支援します。

組織間パートナーシップの場を創造

多種多様な個人や企業組織、コミュニティがパートナーシップを結び、それぞれの重点課題の達成に向けて取り組める、関わりしろとなる場を創造します。

 

まとめ、ベトナムのSDGsの立ち位置は?

 

ベトナムは、2030年までにすべてのSDGsを

目標通り達成するためには、まだまだ長い道のりと言えるでしょう。

 

ここ数年、大都市では、経済発展に伴う

新企業の増加や、若手起業家による新しい事業の発足の動きが早まっており、

今後のベトナムのSDGsの達成にはそうした企業も加わり、

アップデートの頻度が加速されていく期待もあります。

 

こうしたベトナムの未来に期待しましょう!

今回もお読みいただきありがとうございました。

 

 

出典:https://vietnam.opendevelopmentmekong.net/vi/topics/sustainable-development-goals/ 

   https://www.tinnhanhchungkhoan.vn/phat-trien-ben-vung-xu-huong-tat-yeu-post220355.html

to-top