2025.05.06
グローバル化が進む現代、日越間のビジネス交流はますます活発になっています。
一方で、文化や価値観の違いから、ビジネスの場面で思わぬ誤解やすれ違いが生じることも少なくありません。
特に日本人にとって、ベトナムのビジネスマナーは馴染みが薄く、「これって失礼じゃないかな?」「どう接すればいいんだろう?」と戸惑う場面もあるでしょう。
今回は、ベトナム人と信頼関係を築くために、日本人が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
ベトナムのビジネスシーンは、一見、親しみやすくオープンな雰囲気ですが、その根底には深い「敬意」の文化が現れています。
初対面では必ず年齢や役職を確認し、「Anh(兄)」や「Chị(姉)」のような敬称で呼び分けるのが基本中の基本です。
これは、単なる呼び方ではなく、相手へのリスペクトを示す重要なサイン。
一方で、ビジネスの場でも壁を作らず、笑顔やユーモアを交えながら一気に心の距離を縮めることを大切にします。
この「敬意を忘れず、しかし親しみを持って接する」という絶妙なバランス感覚こそが、ベトナム流ビジネスコミュニケーションの真髄と言えるでしょう。
ベトナムビジネス成功の成否は、何よりも「人間関係」にかかっている、と言っても過言ではありません。
形式や肩書きよりも、「信頼できる人」だと思ってもらうことが最も重要です。
この大切な人間関係は、オフィスの中だけで完結しません。
一緒に食事をしたり、カフェで語らったり、時には家族ぐるみで交流することもあります。
こうしたお誘いには、可能な限り柔軟に応じることが、相手との絆を深める絶好の機会となります。
ベトナムの人たちは、本当に温かく、私たち外国人にも細やかな気配りをしてくれますよね。
その根底には、「tình(情)」と呼ばれる独特の心情文化があります。
誰かに何かをしてもらったら、「今度は自分が助ける番だ」と自然に感じ、行動で示すことを大切にする考え方です。
日本の「義理」や「人情」にも通じる部分がありますが、ベトナムではもっと日常的で、かつ具体的な「お返し」をスピーディーに行う傾向があります。
「ありがとう」の言葉だけでなく、コーヒーをご馳走したり、困っている時に手を差し伸べたりと、何らかの形で感謝や気遣いを示すことが、関係を円滑に保つ上で非常に重要視されるからです。
関係性の深さや企業の文化(伝統的か、スタートアップか、外資系かなど)によって、期待される「お返し」の形や度合いは異なります。
日本人から見ると「時間には少しアバウト?」と感じられることもあるかもしれません。
これは、決して時間に無頓着なのではなく、「時間」よりも目の前の「人間関係」や「その場の調和」を優先する文化的な背景があるからです。
約束の時間に5分、10分の遅れが生じることは珍しくなく、それよりも実際に会ってからの丁寧な対応や、じっくりと話す時間を大切にする傾向があります。
しかし、近年は状況が変化しています。
特に外資系や日系企業、そしてグローバルな感覚を持つ若い世代の間では、時間厳守の意識が確実に浸透してきています。
相手や状況を見極め、柔軟に対応する洞察力と適応力が、ベトナムでのビジネスをスムーズに進めるキーポイントとなるでしょう。
あいさつは、握手と軽い会釈が一般的です。
日本と同様、ビジネスにおける名刺交換は、まさに第一歩。
名刺は敬意を込めて両手で渡すのが丁寧。
受け取ったらすぐにしまわず、相手の会社名や役職にしっかりと目を通すことを忘れずにしましょう。
これは、「あなた」という存在を認識し、尊重しています、という無言のメッセージになります。
ユニークな点として、自己紹介の際に「どこの省(出身地)か」を付け加える方が多くいます。
これはベトナム社会において、出身地が重要なアイデンティティであり、そこから会話が弾み、意外な共通点が見つかるなど、人間関係の糸口になることが多いからです。
こうした一見些細な情報交換が、後の信頼関係構築につながることも少なくありません。
ベトナムは、東南アジアの中でも特に女性の社会進出が目覚ましい国です。
多くの企業で女性が要職に就き、リーダーシップを発揮しています。
性別ではなく、「能力」で評価される、これこそが現代ベトナムのビジネスシーンを象徴する価値観の一つです。
ベトナム語には、直接的な対立や否定を避けるための表現が豊富にあります。
ビジネスの場面でもストレートに「No」を口にすることは少なく、婉曲的な言い回しが多用されます。
例えば、以下のような表現には要注意です。
これらは、明確な拒否や困難を直接伝えずに、相手に意図を「察してもらう」ことを期待する、ベトナム特有のコミュニケーションスタイルです。
相手の言葉の裏にある真意、声のトーン、表情といった非言語的なサインを読み取る繊細さが求められます。
ベトナムのビジネスマナーは、日本と似ている部分もあれば異なる部分も多くあります。
お互いのの文化を尊重し、柔軟な姿勢で接することで、よりスムーズなビジネス関係を築くことができるでしょう。
この記事が、みなさんのベトナムでのビジネスジャーニーの参考になればうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。