2021.11.24
皆さんこんにちは。
ホーチミンの通訳担当のNgan(ガン)です。
日本語は外国人にとって難しい言語です。
母語と全く違う分法の習得は難易度が高いものです。
ただでさえ日本語を学ぶのは大変ですが、
通訳となるとさらに大変な面があります。
日本語がまだ完璧には使いこなせない私も含め、
通訳時に多くの困難に直面している日本語コミュニケーターは
多いと思います。
今日は翻訳や通訳の難しさについてお話をしたいと思います。
1.専門用語
翻訳の第一の難しさに、専門知識や語彙の習得があります。
通常、外国語学習のカリキュラムは、
日常生活や報道ニュースから社会問題などのトピックが中心になっています。
ですが、多くの翻訳業務は、誰もが知っている一般話題ではなく、
特定分野に特化していることが多く、知識や語彙を把握するために、
一定期間の学習や体験が必要になります。
フロンティアコンサルティングはオフィスの内装工事を行っているため、
通訳者は、設計や施工に関する専門用語を知っておく必要があります。
私も今では入社当初に比べ専門用語は多少なりとも学んできたものの、
まだ足りていないことを実感しています。
2.ことばの順序の違い
次に困難なのは日本語の文法です。
ベトナム語の文の構成は、
「主語+動詞+目的語」
しかし日本語では、
「主語+目的語+動詞」
となります。
つまり日本語は動詞が最後に位置しますので、
文全体を聞かないと、翻訳ができないの言語となります。
例えば、英語で「I’m eating」と言われたら、
「食事をしている」と訳すことができ、
「lunch」という言葉を付け加えられたら、
「昼食を食べている」と訳すことができます。
日本語の場合は「昼御飯を….」だけ言うと、
どうやって訳せばいいのでしょうか?
昼御飯を
<食べている>のか
<作っている>のか
<買っている>のか
まだわかりません。
後ろの動詞を言い終わるのを待つ必要があります。
日本語とベトナム語の言語の構成順序の違いも、
翻訳が難しくなる理由です。
3.話し手の話が長すぎる場合
通常、人は通訳が訳すのを待つために
一文一文を中断するのではなく、
言いたいことをすべて言ってしまう傾向があります。
そのため、通訳者は要約や速記ができなければ、
翻訳すべき内容をすべて把握することはできません。
また、話し手が同じことを何度も繰り返して
長々と話す傾向がある場合もあります。
その話の要点が1つか2つしかなく、
通訳の際、翻訳者は要点だけを訳すと、
聞き手は、その前に相手がたくさん話していたのに、
翻訳者が短くしか話さなかったため、
誤訳したかどうか、内容を完全に訳さなかったか
と疑うことがあります。
4.敬語
日本語には、
標準的な話し言葉に加えて、
敬語という丁寧な話し方もあります。
これが通訳や翻訳ではまた厄介な部分です。
敬語は、主にフォーマルな会話で使われ、
全く異なる語彙、構造、文法表現を用います。
外国人の視点からすると、
「行きます」と言われたらすぐ理解できますが、
「お伺いいたします」と言われたら
何のことかわからない可能性があります。
同じ意味として結びつけることができず、
全く別の意味に感じてしまうためです。
5.方言
日本の標準語を学んでいても、
地域方言に悩まされることもあります。
それぞれの地域に根ざした異なる表現方法やアクセントが
文法の多くを変えてしまうため、
会話を理解するのがより難しくなります。
私も、関東の言葉の発音やアクセント、使い方に慣れていますので、
関西の人が話していると聞き取れないことがあります。
通訳ができて嬉しかったとき
私の通訳の経験談ですが、
<コマ大戦ホーチミン大会>というイベントがありました。
ホーチミン市の製造業各社とその専攻を持つ大学による駒(コマ)を使った
ゲーム大会です。
各社・各校が自分で作成したコマを持ち寄り、
土俵の上で一対一で戦います。
勝ったチームは日本で行われる「G1世界コマ大戦2020」に
ベトナム代表として出ることができました。
私は通訳の1人として参加させていただきました。
通訳はゲストの隣に座って、
ステージ上で行われていることを通訳しました。
大会の概要や進行状況をゲストに伝えることが重要で、
私はその部分を担当でき、嬉しく感じました。
精密機械は非常に特殊な業界であり、
ベトナムの精密機械業界の職人や労働者は、
他職業に比べて社会的評価が低い傾向にあります。
ベトナムでは、精密機器業界へ就業する人は、
労働意志を失いやすくモチベーションを失いやすい傾向にありました。
そこで、NPO法人 全日本製造業コマ大戦協会が<コマ大戦コンテスト>を企画開催して、
各社の競争意識を高め、
業界内の競争意識で活気づけることを思いつきました。
非常に良いアイデアだと私も感じ、
通訳となって会場でその役割を担えたのが、
とても嬉しく感じました。
例えば、ステージ上のある出場者が司会のMCに答えた時、
会場が笑いに包まれました。私は、笑いつ包まれた経緯をすぐにゲストへ通訳、
ゲストも会場の笑いと一体になって楽しんでくれたのは、
特に嬉しい思い出となっています。
誰でも、どんな仕事をしていても、
その仕事の難しさに直面する仕方ありません。
しかし、それができるようになれば、
より幸せになり、仕事にもっと興味を持てるようになることは明らかです。
失敗するたびに新しいことを学べます。
私自身も欠点が多いので、今の自分に満足せず、
通訳者としての役割を果たすように、もっと頑張ります。
お読みいただきましてありがとうございました。