2022.04.06

ベトナムの祭日を知るとベトナム理解が深まります

皆さんこんにちは。

ホーチミンの通訳担当のNgan(ガン)です。

 

皆さんは、たまにカレンダーを見て

「ああ、今月は祝日がないのか〜 」

なんて、がっかりしたことはありますか。

 

今日は、ベトナムの祝祭日についてのお話しです。

 

 

ベトナムの祝日は、

 ・元旦(1日間)

 ・旧正月のテト(5日間)

 ・フン王の命日

 ・南部解放記念日

 ・メーデー

 ・建国記念日(2日間)

 

年間合計は11日、休日が週休と重なった場合、

その翌日が振替休日となります。

 

年間祝日数が16日もある日本と比べますと、

ベトナムの大型連休は 旧正月(テト)くらい。

お正月、ゴールデンウィーク、お盆といった大型連休がある日本は、

他祝日も含めますと3ヶ月に1度のペースで連休があります。

 

ベトナムでは上記の6回が<祝日>となり、連休も少ないのですが、

生活に深く根付いている興味深い<祭日>がたくさんあります。

 

一般的には、

 祝日>=「法律で定められた休日」、

 <祭日>=「宗教的な祭典や文化的な記念日」

 

祭日>は<休日>とはみなされていませんが、

お祝いの行事がたくさん行われるため、

ベトナム人はとても楽しみにしています。

 

今回はいくつかのユニークな祭日についてご紹介します。

 

3/8 と 10/20

ベトナムで「女性の日」が2回ある理由

女性の日はベトナムでは年に2回あります。

日本では<女性の日>のお祝いはほとんどしないと聞いてびっくりしましたが、

ベトナムでは

   3/8  「国際婦人デー」

 10/20「ベトナム女性の日」

の2つの女性の日があります。

この日は祝日ではありませんが、

ベトナムでは、女性をお祝いする日として個人や会社で盛大に祝われます。

 

 

ベトナムの古い言葉で、

 「Giặc đến nhà đàn bà cũng đánh」(敵が門前にいるとき、女も戦いに出る)

というものがあります。

 

ベトナムにおける女性の役割は、

長い間、独立のための闘争と深く結びついてきました。

1930年 10/20、

ベトナム共産党の支援を受けたベトナム人女性たちが帝国主義に反対して団結し、

後に<ベトナム女性連合>と呼ばれる組織を結成しました。

以来、ベトナムでは

この組織とベトナム人女性を称えるために、

祝日を設けることになりました。

これがベトナムでは女性の日が2つある由縁です。

 

この日、ベトナムの男性は女性に

愛を伝えるために様々な工夫をします。

恋をしている人にとっては、

この日はもう1つのバレンタインデーのようなもの。

男性は、好きな人のために美しい花束や

心のこもったプレゼントを買い、

恋人がいる人は彼女を連れてロマンチックな夜を過ごします。

 

 

結婚しているカップルの場合、

夫はキッチンに立ち、家族全員のために特別な夕食を作ったり、

外食に連れて行ったりします。

 

 

ベトナム人女性は、この日に、

恋人や夫、同僚や友人、親戚などから、

美しいバラの花やポストカード、たくさんのプレゼント、

そして最高のお祝いを受け取ることが多いので

女性は皆、この日を毎年楽しみにしています。

 

 

旧暦 7/15

ベトナムのお盆 – ブーラン祭 

この祭りの起源は、釈迦の十大弟子の1人である

Muc Kien Lien (目犍連、もくけんれん) の伝説にあります。

ある日、目犍連(もくけんれん)が瞑想をしていると、

母親が前世での悪行のために地獄の責め苦を受けているのが見えました。

目犍連(もくけんれん)は、母親が衰弱しているとみて、

慌てて1杯のご飯を持ってきたのですが、

母親はご飯を口に運ぶ前に燃えて灰になってしまったそうです。

 

彼はお釈迦様に助けを求めました。

するとお釈迦様は、旧暦 7/15に僧侶や信者を集めて、

母親の救済を祈るようにと助言しました。

その結果、目犍連(もくけんれん)の母親だけでなく、

他の多く方々の魂までが地獄の責め苦から解き放された、というお話。

 

それ以来、ブーラン祭は母親を称えるために旧暦 7/15に行われ、

同時に地獄の門が開かれ、苦しんでいる魂は、

24時間の休暇が与えられると信じられています。

 

また、ベトナムでは旧暦の7月を「幽霊の月」と呼び、

旧暦 7/15の満月には、主に2つのことを行う習慣があります。

 

「帰る家がない魂」と「家がある魂(ご先祖様)」供養

地獄の門が開き、お腹をすかせた幽霊が人間界に戻って暴れてくるので、

私たち人間は、日常生活に支障がないようにお供え物を幽霊に渡します。

 

 

日本のお盆は、お墓参りが一般的ですね。

一方のベトナムは、一般的におかゆ、お米、塩、果物などを準備し、

それ以外にも鶏肉、豚肉、豆腐、落花生など準備するのですが、

これは鬼へのお供え物でもあるのです。

 

 

また、この時期になると、ベトナム人は

結婚式を避けたり、家を建てることや旅行も控える傾向があります。

出かけても早く帰るようにします。

 

また、ご先祖様に対しては、

家、家具、車、バイク、スマホ、テレビ、エアコン、その他の生活用品を紙で作り、

これらを燃やします。ご先祖様があの世の生活でも、

現世と同じものが必要と信じられているためです。

 

(ご先祖様に送るための紙の生活用品の専門店があります)

 

 

 

赤いバラ、白いバラ。両親や家族に感謝の気持ちを伝える

また、この日、全国の仏教寺院では、僧侶や信者で溢れかえっております。

彼らは儀式に参加し、お釈迦様に線香を捧げて罪を洗い流すことを願い、

亡くなった親族や生きている子孫のために祈ります。

母親が生きている場合は赤いバラを、

母親が亡くなっている場合は白いバラを身につけます。

薔薇は親子の愛と分かち合いの象徴とされているからです。

 

 

場所によっては灯籠流しをする風習もあります。

両親への願いを込めて灯籠を川に流し、

その灯火が祈る人の想いを天へ運んでくれると信じられているからです。

 

 

11/20は どの先生も優しくなる?

ベトナムでは、

教師に対し、日頃の尊敬と感謝の気持ちを伝える教師のとして知られ、

ベトナム全国で幅広く行われています。

 

この日が近くなると、学校近くの路上には花屋さんの屋台が出てきて、

花束以外にも小さなプレゼントなども屋台で販売している様子が多く見られます。

 

 

女性の先生はアオザイを着て仕事をすることが多いので、

花の他には、アオザイの生地やシャンプーなどの

プレゼントを買うことも多いです。

 

 

中学校や高校では、

教師をテーマにした歌のコンテストや壁新聞を作るコンテストなど、

ベトナムの教師の日を祝うための様々なイベントが行われます。

小学校では、各クラスの壁新聞や、

先生に関する詩や絵などを提示して競い合い、

大いに盛り上がります。

 

 

この日はいつもは厳しい先生でも「優しく」なる傾向があります。

例えば、生徒の課題提出が遅れた場合でも

教師の日は、いつもと違って許されたりすることもあったり・・・。

 

学校の卒業生たちも時間を割いて母校へやって来て、

先生へ花束や感謝の言葉を伝える人も多く、

ベトナムの素敵な祭日の1つだと思います。

 

仕事がお休みの祝日以外にも、

こうした祭日の存在が、

ベトナム人の文化を豊かにしていると思います。

 

ベトナムの祭日を少しでも知っていただくことで、

皆さんのベトナムでの生活が少しでも楽しくなりましたら嬉しく思います。

お読みいただきありがとうございました。

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